認知症

高麗人参は、動脈硬化や脳梗塞を予防する効果があるので、血管性認知症の予防ができます。
また、高麗人参に含まれるサポニンがアルツハイマー病の予防と改善をサポートすることが、様々な研究と実験により解明されています。

認知症とは、日常生活に障害が出るほどの記憶能力、認知能力が低下した状態のことです。
以前は痴呆症と呼ばれていましたが、差別的な表現であるとされ、2004年に厚生労働省の公募によって認知症という呼び方が一般的になりました。

認知症で最も多いのがアルツハイマー病(AD)です。
アルツハイマー病患者の脳には、老人斑と神経原線維変化という特徴があります。
老人斑とは、アミロイドβタンパク質が脳の神経細胞の表面に異常に凝集したもので、情報伝達の障害となります。
老人斑の沈着が進行していくと、タウと呼ばれるたんぱく質が過剰にリン酸化して神経細胞そのものに蓄積されていきます。
これが神経原線維変化といわれるもので、神経細胞を破壊しながら次第に脳全体に広がって委縮を起こし、アルツハイマー病を引き起こすと考えられています。

細胞実験によって、高麗人参に含まれるサポニンのRb1とRcが神経細胞の死滅を抑制する効果があることがわかっています。
具体的にどのように働くのかは解明されていませんが、アミロイドβタンパク質に影響するのではなく、細胞死を制御するメカニズムを介して働いているのではないかと考えられています。
(龍野一郎 1999年)
また別の実験では、サポニンRg3が脳内のネプリライシンという酵素の遺伝子発現を促進する効果が確認されました。
(Yang L 2009年) ネプリライシンとは、体内の様々な場所に存在する酵素ですが、脳内でアミロイドβタンパク質を分解する働きがあり、より神経毒性が強いアミロイドβオリゴマーの分解もできることがマウスを使った実験でわかっています。
(岩田修永 2013年) 実際アルツハイマー病の患者のネプリライシンレベルは著しく低下しています。
こちらもどのように作用して効果を生むのかは詳しく解明されていませんが、サポニンがアルツハイマー病の予防・改善に効果があることは明らかです。

さらに高麗人参は脳血管性の認知症にも効果があります。
脳血管性認知症は、脳梗塞やくも膜下出血などによって神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、神経細胞が死滅してしまうことで起こります。
高麗人参は血流や血管を改善して、血栓の生成を防いで動脈硬化を予防する効果があるので、この種類の認知症の予防にも効果的です。

アミロイドβタンパク質はもともと体内に存在しますが、増えて蓄積されていく謎は解明されておらず、またそれを止める薬も見つかっていません。
40歳を過ぎた頃から、30年ほどの長い時間をかけて、アミロイドβタンパク質の沈着は進行していくといわれています。
そしてネプリライシンの発現は加齢によって減少していくので、アルツハイマー病になる可能性はだれにでもあり、予防が大切なのです。

アルツハイマー病に対する高麗人参の効果は、まだまだ解明されていない部分が多いですが、認知症を予防・改善する効果があることは確かです。
今後さらなる研究で、認知症の治療に役立つ働きが解明されていくでしょう。


参考文献
・The Ginseng Review No.27(1999)55-61 龍野一郎、奥田佳子、田中知明、内田大学、中村晋、野口義彦、平井愛山千葉大学医学部第二内科千葉県立東金病院
・J Pharm Pharmacol. 2009 Mar,61(3):375-80 Yang L, Hao J, Zhang J, Xia W, Dong X, Hu X, Kong F, Cui X. Institute of Biochemistry and Molecular Biology, School of Medicine, Shandong University, Jinan 250012, Shandong, China ・Nobuhisa Iwata, Misaki Sekiguchi, Yoshino Hattori, Akane Takahashi, Masashi Asai, Bin Ji, Makoto Higuchi, Matthias Staufenbiel, Shin-ichi Muramatsu & Takaomi C. Saido. "Global brain delivery of neprilysin gene by intravascular administration of AAV vector in mice".Scientific Reports2013 DOI:10.1038/srep01472 .